今回のゲスト講師は
株式会社鶴林精舎の樋口純子氏
でした。

テーマは「地方の活躍が国を救う」です。
身延山の宿坊を守りながら
地域の価値を再発信している
まさに現場の経営者による
実践の話でした。
樋口氏は、山梨県の
身延山久遠寺の門前町にある
宿坊「格林坊」を営んでいます。
かつて身延山の周辺には
30以上の宿坊が並び
多くの参拝者で賑わっていました。
しかし宗教離れや人口減少
そしてコロナ禍の影響によって
状況は大きく変わっています。
宿坊を続けられず
閉めてしまう寺院も増えているそうです。
この問題は寺の世界だけの話ではありません。
地方の多くの地域が
同じ課題を抱えています
人口減少
産業の衰退
観光客の減少
そしてもう一つ大きな問題が
「変わることへの抵抗」
です。

樋口氏が語っていた地域の会議の様子は
とても印象的でした。
新しい取り組みを提案しても
「前例がない」
「今までやってこなかった」
という理由で止められてしまいます。
さらに地域社会では
年功序列の文化が強く
若い人や女性の意見が
通りにくいという現実もあります。
その結果、新しい挑戦が
生まれにくい環境になってしまうのです。
しかし樋口氏はそこで諦めず
まず自分の寺から変える
という行動を選びました。
最初に始めたのが
宿坊の魅力を観光として
発信することです。

寺という場所は「修行の場」
というイメージが強く
一般の人にとって敷居が高いものです。
そこで樋口氏は
そのイメージを変えるために
ランチ企画を始め
寺をもっと気軽に
訪れられる場所にしました。
さらに、日本文化を体験できる
さまざまなプログラムを作り
日本文化の体験を
海外にも発信していきました。
しかし順調だったわけではありません。
最初はほとんど人が来ない日も
続いたそうです。
それでも樋口氏は諦めませんでした。
その結果
徐々に海外からの宿泊客が増え
口コミが広がり
宿坊には世界中から
人が訪れるようになりました。
レビューサイトでも高評価を得る
宿泊施設へと成長していきました。
しかし、そんな矢先に
コロナが直撃します。
宿泊客は一気に減り
売上は大きく落ち込みました。
それでも樋口氏は行動を止めません。
むしろこの時間を
次の準備期間として
活用していたのです。
講演の中で印象的だったのは
「地方には大きなポテンシャルがある」
という言葉でした。
地方には、歴史や文化
自然などの資源が数多く残っています。
しかし、それを発信し
価値として届ける人がいなければ
存在していないのと
同じになってしまいます。
身延山も東京から近い場所にありながら
海外のガイドブックには
ほとんど載っていませんでした。
だからこそ樋口氏は
「世界のガイドブックに身延を載せる」
という目標を掲げたそうです。
とても大きな目標に聞こえますが
実際にやっていることは
地道な積み重ねです。
・SNSで発信すること
・お客様との会話を大切にすること
・レビューを書いてもらうこと
・地域の食材を使うこと
そうした一つひとつの行動を
何年も続けてきました。
経営とは、派手なアイデアだけで
変わるものではありません。
むしろ、地道な取り組みを
続けられるかどうかが
問われる仕事です。
そしてもう一つ重要なのは
「地域全体で価値をつくる」
という視点です。
樋口氏は、自分の宿坊だけが
成功すればよいとは考えず
地域全体を活かす取り組みを
考えていました。
地方が元気になるためには
この視点が欠かせません。
一つの店や施設だけが頑張っても
地域全体の魅力にならなければ
人は集まらないからです。
地方には可能性があります。
しかし、その可能性は
誰かが本気で動かなければ
形になりません。
地域の資源を掘り起こし
新しい価値として発信していく。
その行動の積み重ねこそが
地方を変え、日本全体を
元気にしていくのだと思います。

樋口氏の講演は
「地方創生」という言葉を
机上の理論ではなく
現場の実践として
感じさせてくれるものでした。
その姿勢はまさに
「徳ある経営の実践」
そのものだと感じました。
自分の利益だけではなく
地域の価値を高め
社会に意味のあるものを残していく。
そうした経営の在り方こそ
これからの時代に
求められるものではないでしょうか。
寺子屋経営塾では
このように実際の経営者の経験や
歴史から学びながら
経営の本質を考える場をつくっています。
理念だけで終わらない
実践につながる学びを
共有していくことが目的です。
もし、経営を単なるビジネスではなく
「生き方」として考えたい方は
ぜひ一度参加してみてください。
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