今回のゲスト講師は
株式会社時代村の野口義和氏
でした。
理論を語るのではなく
「自分が体験してきたことしか話せない」
という言葉から始まった講演でしたが
その内容はまさに
経営の本質を突くものでした。

野口氏は二代目経営者として
会社を引き継ぎます。
しかしその原点は
創業者である父の生き方にありました。
戦後の高度経済成長期
日本は新しいことを始めれば
会社が伸びていくような時代でしたが
その後の社会は大きく変化し
企業経営は決して
順風満帆ではなくなりました。
そうした時代の中で
野口氏の価値観の根底にあったのは
父から受け継いだ経営観でした。
野口氏の父は
決して恵まれた環境で
育った人物ではなく
学歴もなく、戦後の混乱期の中で
必死に生き抜いた人物でした。
そんな父が会社を興した理由は
決して壮大な理念からではなく
「まずは家族を幸せにしたい」
その素朴で切実な思いが
すべての出発点だったそうです。
しかし、その父は同時に
強い誇りを持った人でもあり
社会の中で働くということに対
「侍の仕事」
という言葉を使うほど
職業人としての誇りを
重んじていたといいます。
その姿勢は単なる商売人ではなく
仕事を通して
社会に対して
責任を持つべきだ。
という価値観として
野口氏の中に深く刻まれました。
やがて野口氏は
父の事業を引き継ぎますが
事業を引き継ぐということは
簡単なことではなかったそうです。
創業者の時代とは
社会環境も違えば
経営の難しさもまったく違う。
思うようにいかないことも多く
経営の厳しさを何度も痛感しています。
経営者という立場は
成功だけが語られることが多いですが
実際は
失敗や判断ミス
思い通りにいかない経験
の連続です。
野口氏はそうした
経営の失敗隠さず語っていました。
経営とは
失敗を避け続けること
ではなく、むしろ
失敗から何を学ぶか
かが問われます。
失敗を認め
そこから学び
次に活かしていく。
その積み重ねこそが
企業を強くし
経営者自身を鍛えていく。
そして、その経験の
延長線上に生まれたのが
「日光江戸村」という事業でした。
江戸の文化や人情、暮らしを体感できる
テーマパークとして知られる日光江戸村は
単なる観光施設ではなく
そこには、日本の歴史や文化を
後世に伝えたいという
想いが込められていました。
利益だけを追い求めるのではなく
社会に何を残すのか。
事業を通して
どんな価値を生み出すのか。
そうした問いに向き合い続けることが
経営の本質なのだと感じさせられました。
経営とは
数字だけを追う仕事ではない。
理念だけを語る仕事でもない。
現実の厳しさの中で
何度もつまずきながら
それでも社会に価値を
生み出していく営みです。
そして、その根底に必要なのは
人としての在り方。
どれだけ利益を上げても
人としての軸を失えば
事業は長く続かない。
逆に言えば
人としての誠実さや
責任感を持った経営は
時間をかけて必ず信頼を生む。
だからこそ
私たちが目指すべきものは
単なる成功ではない。
それが「徳ある経営」です。
利益を上げることと
社会に価値を残すこと。
この二つを両立させながら
長く続く事業をつくっていく。
寺子屋経営塾では
こうした経営の本質を
先人の経験や歴史から
学びながら
考えていく場をつくっています。

もし、経営を単なるビジネスではなく
「生き方」として考えたい方は
ぜひ一度覗いてみてください。



